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第四章 星の名も知らずに

黎明へ至る青

第46話 雲間

空一面を覆う厚い雲も、そこから降りしきる雪も、たなびいては消えていく吐息も、踏みしめるたびに軋んで歪む地面も、視界に映るすべてが灰色だった。どこまでも続くその凍てついた世界を、ただひたすらに歩き続けていた。松明を持つ右手を動かせば、雪が激し...
黎明へ至る青

第45話 青狼星

暖かな日射しの降り注ぐ中庭を、ただ眺めていた。くすんだ草木が色づいて、花の蕾は咲きそうに膨らんでいる。春の気配はすぐそこまで来ている。だというのに、心の底は凍てついて、氷解の兆しは窺えない。「――、ここに……たのか」おのれを呼ぶ声に振り返っ...
黎明へ至る青

第44話 古傷

冷えた風が濡れた身体を突き刺し、冷気が骨まで染み入る。だが今、アサレラの背筋が震えるのは、そのためだけではなかった。「…………ローゼンハイム…………」「ローゼンハイムの記憶は、オレにはないがな」「……それは……生まれてすぐ、追放されたから、...
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黎明へ至る青

第43話 炎

一行は夜が明けきらないうちにサヴォナローラの王都ラグナを経った。ラ・ロッサ山脈を越え、遥か北のローゼンハイムの大地を踏むべく進むアサレラの心は重かった。――アサレラ。おまえがどこへ行こうと、おまえの行き着く先にパトリス様はいらっしゃる……そ...
黎明へ至る青

第42話 夜明け前

「リューディア!」「おう!」放たれた矢のように素早く飛び出したリューディアが、戦斧を振り回してゴーレムの足に叩きつけた。少し遅れて駆け出したアサレラも、反対側の足を斬りつける。固い衝撃が剣から左腕へ走る。刃は少しも食い込まずにゴーレムの身体...
黎明へ至る青

第41話 恋

聖剣を構えるアサレラへ、ジョンズワートはやれやれと肩をすくめた。「剣を納めなさい。こんな街中で戦うつもりですか?」視線だけを周囲へ向ければ、アサレラとジョンズワートの周辺を避けるように行き交う人々が、怪訝そうにこちらを窺いながら、巻き込まれ...
黎明へ至る青

第40話 オアシスの町

元気づけようとしているのか、デシレーはしきりにリューディアへ話しかけている。話すことを禁じられたリューディアの代わりに受け答えをするのはエルマーだ。嘘が露呈したときにうまく取りなすつもりだろう、ロモロは少し後ろから見守っている。アサレラはフ...