序章 光輝の手は復讐のために

黎明へ至る青

第9話 再会

気がつけばアサレラは、午後の日差しあふれる賑やかな表通りに戻って来ていた。 アサレラの目の前で、多くの人間が行き来している。その光景を見続けるアサレラの胸が、にわかに痛む。 ――ミーシャの言う通りだ。確かに、おれは変われない……。 おのれが...
序章 光輝の手は復讐のために

第8話 決別

表通りと異なり、路地は細く狭い。人が二人並ぶのがせいぜいといったところだろう。分岐点はなく、身を隠せそうな場所もない。 気配を殺しながらも、アサレラは足早に進んでいく。 ほどなくして突き当たった壁面に、女性は逃げ道を塞がれ、追い込まれていた...
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第7話 予兆

カタニアの町は人々の賑わう声であふれていた。 幾分やわらいだ午後の日差しが石畳に降り注ぐ。中央に一本線が引かれ、その左右に細長い石が敷き詰められた石畳は、コーデリア王国では見られなかったものだ。 コーデリアと異なるのは、もちろん石畳だけでは...
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第6話 待ち人

広大な川に架かるには心もとない木をどうにか渡り終えたとき、フィロは裾を翻しさっさとカタニアの町へ行こうとしていた。 「待て。あそこに寄るぞ」 フィロが足を止め振り返ったところで、アサレラは川のほとりにある小屋を指した。 茂みの中にぽつんと佇...
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第5話 国境

夜が明け、辺りが明るくなると、二人はすぐさまカタニアへ向けて出発した。 並び歩くアサレラとフィロのあいだには幾分かの距離がある。 もともとアサレラは饒舌ではないし、フィロはアサレラに輪を掛けて無口、おまけに無表情で無愛想なものだから、会話が...
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第4話 二人旅の始まり

薄闇の中でさらに暗く、連なる山々の稜線が浮かび上がっている。 アサレラはマントをなびかせながら、足下にまとわりつくスライムの集団を斬って捨てた。 この辺りは夜になるとおそろしいほどの暗闇に覆われる。幸い今夜は月が出ているので、なにも見えない...
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第3話 邂逅

セイレム村に残されたのは、焼かれた地面へ倒されたすすけた木と、積み重なった瓦礫であった。 やはりというべきか、焼け爛れた死骸は片付けられている。村の中を進むアサレラの影が、足下で濃く長く伸びる。 西へ傾いた日は、すべてを赤く染め上げている。...