黎明へ至る青 第9話 再会 気がつけばアサレラは、午後の日差しあふれる賑やかな表通りに戻って来ていた。アサレラの目の前で、多くの人間が行き来している。その光景を見続けるアサレラの胸が、にわかに痛む。――ミーシャの言う通りだ。確かに、おれは変われない……。おのれが間違っ... 2020.07.05 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために
序章 光輝の手は復讐のために 第8話 決別 表通りと異なり、路地は細く狭い。人が二人並ぶのがせいぜいといったところだろう。分岐点はなく、身を隠せそうな場所もない。気配を殺しながらも、アサレラは足早に進んでいく。ほどなくして突き当たった壁面に、女性は逃げ道を塞がれ、追い込まれていた。「... 2020.07.05 序章 光輝の手は復讐のために黎明へ至る青
黎明へ至る青 第7話 予兆 カタニアの町は人々の賑わう声であふれていた。幾分やわらいだ午後の日差しが石畳に降り注ぐ。中央に一本線が引かれ、その左右に細長い石が敷き詰められた石畳は、コーデリア王国では見られなかったものだ。コーデリアと異なるのは、もちろん石畳だけではない... 2020.07.05 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために
黎明へ至る青 第6話 待ち人 広大な川に架かるには心もとない木をどうにか渡り終えたとき、フィロは裾を翻しさっさとカタニアの町へ行こうとしていた。「待て。あそこに寄るぞ」フィロが足を止め振り返ったところで、アサレラは川のほとりにある小屋を指した。茂みの中にぽつんと佇む草葺... 2020.07.05 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために
黎明へ至る青 第5話 国境 夜が明け、辺りが明るくなると、二人はすぐさまカタニアへ向けて出発した。並び歩くアサレラとフィロのあいだには幾分かの距離がある。もともとアサレラは饒舌ではないし、フィロはアサレラに輪を掛けて無口、おまけに無表情で無愛想なものだから、会話が弾む... 2020.07.05 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために
黎明へ至る青 第4話 二人旅の始まり 薄闇の中でさらに暗く、連なる山々の稜線が浮かび上がっている。アサレラはマントをなびかせながら、足下にまとわりつくスライムの集団を斬って捨てた。この辺りは夜になるとおそろしいほどの暗闇に覆われる。幸い今夜は月が出ているので、なにも見えないとい... 2020.07.04 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために
黎明へ至る青 第3話 邂逅 セイレム村に残されたのは、焼かれた地面へ倒されたすすけた木と、積み重なった瓦礫であった。やはりというべきか、焼け爛れた死骸は片付けられている。村の中を進むアサレラの影が、足下で濃く長く伸びる。西へ傾いた日は、すべてを赤く染め上げている。あの... 2020.07.03 黎明へ至る青序章 光輝の手は復讐のために