第二章 運命の車輪

黎明へ至る青

第28話 夜明け

声が聞こえる。 「…………この子の……前、考……て……れた……」 どこまでも続く闇は深く、重く、そして、少しだけ暖かい。 「本当に僕の……えた名……でいい………そう……の苦手な……きみも知って……だろ……」 「もちろんわたしも……考え……け...
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第27話 秘密

音という音が消えてしまったのかと思うほどに静まり返るクルトの町を、アサレラとロモロは進んでいた。 今にも崩れ落ちそうな小聖堂で夜を明かすのは危険だと主張するアサレラへ、ロモロは黙って頷き、眠ってしまったフィロを背負ったのだった。 聖痕の輝き...
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第26話 業火

逃げ場のない風が烈しく渦巻き、小聖堂が内側から悲鳴をあげる。 当然、その渦中にいるアサレラへも暴風は容赦なく襲いかかり、骨を砕かれるような痛みが全身に走る。 吹き荒れる風の唸り、軋む建物の音、盗賊たちの叫喚。それらが重なり合い、異様な歌のよ...
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第25話 危機

フィロを背にかばい、アサレラは扉を塞ぐように立つ男たちへ視線を走らせた。 この男たちがマドンネンブラウ騎士の言っていた盗賊なのだろう。まさか魔物よりも早く遭遇することになるとは思いもしなかった。闇の中へ浮かび上がるいくつもの剣が光を放ち、茨...
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第24話 聖王国へ

リューディアもマドンネンブラウへ向かう道中であったらしく、一行はともに国境へと向かうこととなった。 「聖者さんたちがいてくれてよかったぜ」 軽い足取りで先頭を進むリューディアは、当初は商人の護衛として国境越えを目指していたらしい。ところが別...
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第23話 過去

パレルモを発ち、聖王都ドナウへ向かう道すがら、アサレラはロモロの背中に問いかけた。 「ロモロさん、よかったんですか?」 先頭を行くロモロが肩越しに振り返った。 「なんのことかな、アサレラ殿」 空一面を覆う雲の奥に、太陽の気配がわずかにうかが...
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第22話 聖剣の威光

四人掛けの卓を囲むアサレラたちを、不穏な静寂と料理の香りが包んでいる。 たちというのは、フィロとロモロ、そして、例の神官だ。 周囲の客が聖者様が聖剣を抜く瞬間に立ち会えてよかっただの、あの剣士はどこかで見たことがあるだのと騒ぎ立てている中、...