第三章 暁は光と影を分かつ

黎明へ至る青

第34話 追憶

外へ出ると、目の前の通りを人々が賑わしく行き交っている。アサレラが宿の裏手へ回ると、エルマーも黙ってついてくる。 賑やかな声や行き交う足音が遠くなる。少し開いた勝手口の扉からは、炊事の煙がたなびいている。 「エルマー王子。聖王国は、...
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第33話 真実の欠片

耳元で風がごう、と唸る。 双子。兄への復讐。ジョンズワートの言葉が頭の中で旋回する。 「おまえはなにも知らないのですね。いえ、なにも知らされていない、と言うべきか」 発するべき言葉を失い、ただ呆然と立ち尽くすアサレラへ、ジョン...
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第32話 復讐

胸が苦しい。 吹き付ける熱風の中、どうにか瞼を押し上げる。 赤く燃える空へ砂塵が舞う。濃厚な硝煙が上がる先で、星がかすかに瞬いている。 固い地面に横たえられた身体を動かすこともままならず、視線だけを動かす。胸の辺りで、黒い炎のようなも...
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第31話 1+2

中庭を横切り、回廊を進む。差し込む日射しはずいぶん翳り、日没が近いことを伝えてくる。 嫌悪と悔恨が胸の底でわだかまるのを、アサレラはかえって冷静な思いで見つめた。 発端となったアデリスの失踪は、誰のせいでもなかったのだ。 だからっ...
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第30話 預言者の末裔

窓から差し込む午後の日射しを受け、神官の持つ青色の布が光沢を放つ。 「わたしはミカヤ。神官です」 腕を伸ばせば触れられるほどの距離に差し掛かったそのとき、かつん、とひときわ高く踵を鳴らし、神官ミカヤは足を止めた。 ロモロやイス...
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第29話 聖王家

「アサレラ殿! 右!」 ロモロの声が飛ぶ。 とっさに構えた剣は鋭い突きを受け止めた。指先がじんと痺れる。ロモロの細剣が繰り出す突きは熾烈で速い。攻勢に転じるきっかけを見出そうと、アサレラは剣戟を踏みこたえた。 ――今だ! ...
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