黎明へ至る青

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第13話 失敗

女性の目は、まっすぐロモロを見つめている――ということは、ロモロの知り合いなのだろうか。 アサレラは、ひそかに拳を握りしめた。 彼女の素性がどうであれ、すぐ背後に立たれて気がつかないなど、剣士の恥さらしである。 思い返せば、当初からお...
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第12話 分岐点

ロモロは、アサレラのグラスが空になると、すかさず注ごうとする。アサレラが遠慮しても、親しみ深い笑顔とともにアサレラの警戒心をほどいてしまう。 注がれるままに飲み干していった結果、アサレラは、これが何杯の葡萄酒なのかわからなくなっていた。...
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第11話 名前

「…………え」 一拍遅れて言葉の意味をとらえ、アサレラは伸ばしかけた手を止めた。 ロモロの口調は質問ではなく確認だった。 それらしき振る舞いをした覚えは、アサレラにはない。だというのに、アサレラの正体をどこで確信したのだろうか。...
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第10話 残光

空の色が赤い。 地平線の果てへ没する太陽と、大地を包む業火のために。 燃えさかる輪が空中で絶え間なく回転し、無数の炎を雨のごとく地上へと降り注いでいる。 背後から迫る炎の渦から逃れるべく、アサレラは走った。 どこへ向かっているの...
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第9話 再会

気がつけばアサレラは、午後の日差しあふれる賑やかな表通りに戻って来ていた。 アサレラの目の前で、多くの人間が行き来している。その光景を見続けるアサレラの胸が、にわかに痛む。 ――ミーシャの言う通りだ。確かに、おれは変われない……。...
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第8話 決別

表通りと異なり、路地は細く狭い。人が二人並ぶのがせいぜいといったところだろう。分岐点はなく、身を隠せそうな場所もない。 気配を殺しながらも、アサレラは足早に進んでいく。 ほどなくして突き当たった壁面に、女性は逃げ道を塞がれ、追い込まれて...
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第7話 予兆

カタニアの町は人々の賑わう声であふれていた。 幾分やわらいだ午後の日差しが石畳に降り注ぐ。中央に一本線が引かれ、その左右に細長い石が敷き詰められた石畳は、コーデリア王国では見られなかったものだ。 コーデリアと異なるのは、もちろん石畳...
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