切り捨てることと選び取ること「映画大好きポンポさん」感想

どうも星月光です。

先日、知人に勧められた「映画大好きポンポさん」を観てきました。

私はネタバレをまったく気にしないタイプなので、なにか作品を見るときはまずネットで評判を見ます。ネタバレよりも自分が嫌いなストーリー展開を恐れているためです。

が、今回は作品についてまったく下調べせずに行きました。勧めてくれた知人の感性を信じて……。

結果としてそれは正解でした。

主人公は誰だ

物語の主人公はジーン、作中劇「MEISTER」の主人公ダルベール、そして映画オリジナルキャラのアランです。

タイトルにもなっているポンポさんは主人公というよりは主人公を導く役どころですね。

ジーンについて

初見ではラノベ的な”ヒロインに振り回されがち系主人公”か? と思ったのですが、その印象は序盤の「(編集が楽しくて)映画の売り上げもスタッフの生活もどうでもいい」で覆されました。

そして「映画を撮るか死ぬかしかない」でとどめをさされました。こいつはやばい映画バカだ!

追加撮影の依頼も土下座もむちゃくちゃすぎる。激昂せず冷静に諭したポンポさんは見た目と裏腹に大人ですね。

アランについて

一番気に入ったキャラです。

購入したパンフレットを読み、映画版のオリキャラと知って驚きました。そしてそこで初めて「ポンポさん」の原作があることを知りました。原作から入った人がどう感じたかは分かりませんが、それぐらい作品になじんでると思いました。

現実では外で知人とすれ違っても気がつかない私が、スイス行きの飛行機内にアランが登場したときは「あ、序盤でナタリーとすれ違ってた金髪の人だ!」と気づきました。現実では外で知人に声をかけられても気がつかない私が。

あ~リアルでもこれぐらい人のことに気づけたらな~

プレゼンのシーンでは「コンプラ」の4文字が頭を掠めないこともなかったですが、アランにも夢に対する熱意と狂気が確かにありました。

なにより「まだプレゼンは終わっていません!」のセリフが熱かった。

主人公たちの取捨選択

社会に切り捨てられて「映画を撮るか死ぬかしかない」とまで言うジーンは私生活や家族を捨て映画を選びました。その映画でもさまざまなシーンを選んでは捨てて捨てては選んで、90分の作品として仕上げました。

銀行員のアランは自分のクビをかけて追加融資のためのプレゼンを行いました。

指揮者ダルベールは家族を切って音楽を選びました。

なにかを切り捨ててなにかを選び取る、それが人生か……と思いました。

まとめ

創作している人、かつて創作していた人、創作しない人、いろいろな人に観て欲しい作品でした。

エンドロールで肩組んで自撮りする2人に微笑ましい気持ちになりました。

作中では虚無感に苛まれていたアランですが、このシーンでやっぱり陽の人間なんだな……と思いました。いい意味で。

Blu-rayが出たら買いたいです。

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』公式サイト
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