黎明へ至る青

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A bargain is a bargain.

「……では、魔王パトリスがこのファウストの町に一晩宿泊したというのは事実なのですね?」 「は、はい……も、申し訳ありません、まさか彼が……いえ、あの者が魔王パトリスだとは、微塵も思わず……」 「無理もねえ、パトリスは見てくれだけなら俺たちと...
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第37話 魔人審問(後編)

「なっ、なんだって!? どうして……!」 「宿で部屋を取ってたら騎士たちが来て、フィロに魔人の容疑がかかってる、なんて言って……違うって言ったのに聞いてくれなくて、そのまま連れて行っちまったんだ!」 話しているうちに興奮してきたらしく、リュ...
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第36話 魔人審問(前編)

薄紫色の髪がゆるやかに流れる背中とそれを追う小柄な背中が、突如として動きを止めた。 不思議に思いながらも二人に追いついて、アサレラはその理由を知った。 「……エルマー? 旅立ちの許可はもらえたのか?」 問いかければ、エルマーはええ、と言葉少...
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第35話 同情

「では、食事を終え次第レヴィンへ向かいましょう」 「レヴィン……って、サヴォナローラとの国境の町……だよな」 食事を進めるうちに、アサレラの気持ちはいくらか凪いでいた。 「ええ。砂漠を越えるために必要なものは、ドナウよりもあちらのほうが揃っ...
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第34話 追憶

外へ出ると、目の前の通りを人々が賑わしく行き交っている。アサレラが宿の裏手へ回ると、エルマーも黙ってついてくる。 賑やかな声や行き交う足音が遠くなる。少し開いた勝手口の扉からは、炊事の煙がたなびいている。 「エルマー王子。聖王国は、魔術士…...
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第33話 真実の欠片

耳元で風がごう、と唸る。 双子。兄への復讐。ジョンズワートの言葉が頭の中で旋回する。 「おまえはなにも知らないのですね。いえ、なにも知らされていない、と言うべきか」 発するべき言葉を失い、ただ呆然と立ち尽くすアサレラへ、ジョンズワートが哀れ...
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第32話 復讐

胸が苦しい。 吹き付ける熱風の中、どうにか瞼を押し上げる。 赤く燃える空へ砂塵が舞う。濃厚な硝煙が上がる先で、星がかすかに瞬いている。 固い地面に横たえられた身体を動かすこともままならず、視線だけを動かす。胸の辺りで、黒い炎のようなものが立...